今年の梅雨明けは早いということですが、まだまだ梅雨真っただ中。
しとしとと雨が降り続く6月に「水無月（みなづき）」という名前がついているのは、ちょっと不思議に思いませんか。
雨が多いのに「水が無い月」とは、一体どういう意味なのでしょうか。

「水無月」の意味

古語では「無（な）」は「の」という意味を持つことがありました。
つまり「水無月」は水が無い月という意味ではなく、「水の月」という意味なのです。
陰暦の6月は今でいう6月末から8月初旬にあたり、田んぼに水を引く時期です。
古来から日本人にとってお米は欠かせないものなので、田んぼに水を引く月ということで「水無月」と名付けられたと考えられています。

また、旧暦で無の字が使われる月はもう一つあります。
「神無月」です。
全国の神々が出雲大社に集まり、各地の神々が留守になるから「神無月」と名付けられたという説もありますが、実は最も有力な説は「神の月」であるとする説です。
米の収穫を祝い、感謝する季節だから「神の月」というわけです。

「水無月」という和菓子

「水無月」といえば、その名を冠した和菓子があるのをご存じですか。
三角形のういろうに小豆がたっぷりのった「水無月」は、実は「夏越の祓」と深い関係があります。

夏越の祓は一年の折り返しとなる6月30日に行われる神事で、半年の罪と穢れを払い、残り半年の無病息災を祈願します。
その日の食べて縁起を担ぐのが「水無月」です。

まず、「水無月」の三角形は氷を表しています。
昔は氷はとても貴重でした。
本物の氷を手に入れられない庶民は、氷に見立てた三角形の和菓子を食べて暑気払いをしたのです。

加えて、小豆の赤色は生命を象徴する色であり、邪気を払うと信じられてきました。
そのため、氷に見立てたういろうの上に、小豆をのせることで厄除けと無病息災を祈ったのです。

「水無月」は、単なる甘いお菓子ではなく、季節を感じ、古来の日本人の知恵や願いを味わう特別な存在です。
6月の締めくくりに、「水無月」をいただきながら無病息災を祈るひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

おまけ

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参考：ウェザーニュース（6月の異名「水無月」　梅雨時で雨が多いのになぜ？） / ふれあe+（梅雨なのになぜ「水無月」?） / 国立国会図書館　日本の暦（和風月名（わふうげつめい）） / 京菓匠甘春堂　水無月（みなづき）