TOP / 社員日記 2020.05.28

なぜ土曜日と日曜日は休みなのか

SHARE
土日

カレンダーで青色の土曜日と、カレンダーで赤色の日曜日と。
土日休みは当たり前に定着していますが、日本ではその歴史は浅いのをご存じですか?
今回は土日休みにまつわるお話です。

日曜日が休みになった由来

土曜日と日曜日とだったら、日曜日の方が休日としては格(?)が上なのは皆さんなんとなく感じていると思います。
例えば、日曜日に祝日が被ると次の平日は振替休日になりますし、少し前までは土曜日は午後休みだけの半ドンでした。
なぜ、日曜日は休みなのでしょうか。

日曜休みはキリスト教から

日曜日が休みになった由来はキリスト教から来ています。
キリスト教においてとても重要な日である「イエス・キリストの復活」「復活したキリストが弟子たちに現れた日」「ペンテコステ(聖霊降臨)」が起こったのがすべて「週の初めの日」――つまり日曜日であったからです。
復活の日である日曜日を「主日」と呼んで礼拝をおこなうようになり、321年にはローマ帝国の皇帝コンスタンティヌス1世が日曜休業令を発布して日曜日を礼拝日にしました。
日曜日を仕事を休んで教会でお祈りをする日と定めたのですね。

ちなみに旧約聖書の『創世記』で神が天地創造の7日目に休息を取った話は有名ですが、その曜日は土曜日です。
週の始まりから数えて7日目に休まれたのですから、当然といえば当然です。
神に倣って、この日は「何もしてはならない日」であり、安息日として知られています。
ユダヤ教ではもちろん、土曜日が安息日とされています。

一方のキリスト教は、主日(日曜礼拝)=安息日と考えるか、主日(日曜礼拝)と安息日(土曜日)は別と考えるか、はたまた安息日(土曜日)に礼拝をするか、宗派によって異なるようです。
もしもキリストの復活が土曜日であったなら、土曜日が完全なる休日として習慣化していたかもしれませんね。

日本に日曜日がやってきた!

日本で日曜休みが始まったのは1876年(明治9年)のこと。
官公庁で土曜半休、日曜休日制が実施されました。

それまでの官公庁は1868年(明治元年)の太政官布告によって、31日を除く1日と6日がお休みでした。
俗にいう「一六日(いちろくび)」、「一六どんたく」です。
※どんたくはオランダ語で日曜日を意味するzondagの訛りで、「休み」の意味で使われました

しかしながら、欧化政策をするうえで欧米との交易に不便があったため、欧米に合わせる形で土曜半休、日曜休日制が導入されたというわけです。

一方で、農村部の人々は江戸時代の生活のままの休み方をしていました。
休みの日は「遊び日」と呼ばれ、村ごとに休む日が決まっていたのです。
祭礼などの毎年決まった遊び日と、臨時の遊び日が設けられ、その日数は地域差が大きかったとか。
大体が年間30日から、最大で80日ほどだったと言われています。

こうした人たちにも土曜半休、日曜休みが定着したのは1900年代初頭でした。
官公庁の休日に則って休みを設けていた小学校や市町村役場が国家的な休日や祝日の定着を促したのです。

半ドンって何?

半ドンは午後半休を指す言葉です。
その語源は「半分ドンタク」だと言われています。
この「ドンタク」という言葉は、江戸時代末期から休日や休業を意味する言葉として使われてきました。
その由来はオランダ語で日曜日を意味する「zontag」で、長崎出島から伝わって、音が訛り「ドンタク」と言われるようになったようです。
一日の半分休みだから「半分ドンタク」、「半ドン」というわけです。

「半ドン」の由来としてもう一つ挙げられるのが午砲の音という説。
先に述べた通り、土曜半休、日曜休日制が始まったのは1876年(明治9年)のことです。
それより少し前の1871年(明治4年)からは都市部では毎日、大砲を使って空砲を撃ち、正午を知らせていました。
この正午の時報を「午砲」と言います。
当時の人はこの午砲を、音の聞こえるままに「ドン」という風にも呼んでいました。
土曜日は正午を知らせる「ドン」という音が聞こえたら、仕事が終わり!
「半ドン」というわけです。

半ドンがなくなったのはいつ?

土曜日が一日休みとなり、半ドンがなくなったのはいつのことなのでしょうか?

土曜日を休みとして定めた先駆けは三菱電機でした。
1963年(昭和38年)から第1、第3土曜日は休日とする隔週週休2日制を導入しました。

その2年後の1965年(昭和40年)には松下電器産業(現在のパナソニック)が完全週休2日制を日本の企業で初めて導入します。
創業者の松下幸之助はアメリカの企業を視察し、完全週休2日制から得られる能率に衝撃を受け、この制度の採用に踏み切りました。
当時は労働組合の大反対にあったようですが、「一日休養、一日教養」というスローガンを掲げ、働き方改革を断行したのです。

その後1980年代には多くの民間企業が土曜日を休日とする完全週休2日制を採用するようになり、1992年(平成4年)には官公庁も完全週休2日制が導入されました。

一方で、学校教育は徐々に切り替えていく方針を取ります。
1992年(平成4年)には毎月第2土曜日が休業日に。
1994年(平成6年)には毎月第2土曜日と第4土曜日が休業日に。
2002年(平成14年)にやっと毎週土曜日が休業日となり、公立の小中学校、高等学校は完全週5日制になりました。
学校教育の休日制度の切り替えにより「半ドン」という言葉は使われる頻度が極端に減っていったのです。

なぜ日曜日だけ振替休日があるの?

祝日が日曜日にかかったときは、次の平日が振替休日になるのは皆さまご存じの通りです。
この制度が制定されたのは1978年(昭和53年)のこと。
国民の祝日に関する法律が改正されたことで、日曜日と祝日が重複した場合は振替休日が設けられるようになりました。
ここで注意したいのが「休日」として規定された曜日は「日曜日だけ」ということ。
1978年(昭和53年)にはほとんどの会社は、一日休みがもらえるのは日曜日だけでした。
こうした歴史からも振替休日が取られる曜日は日曜日だけ、というわけです。

 

参考:休みのトリセツ 〜今日から始めるニッポン休み方改革〜(仕事ばかりでツラい…日本人はいつからこんなに忙しくなったのか。江戸時代から休日の歴史を考える) / 語源由来辞典 / Forbes JAPAN(週休二日制の生みの親 松下幸之助の「教養」哲学) / PARAFT(学生の土曜日どう変わる?)

PR
PR
SHARE
この記事を書いた人

Featured

SERVICES

個人情報保護方針 / © 2024 GOODCROSS