TOP / 言葉 2019.12.19

江戸の粋と洒落が利く?! 助六寿司の語源

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助六寿司

いなり寿司と巻き寿司が折り詰められた助六寿司。
味に飽きがこなくていくらでも食べられてしまいます。
今回はそんな助六寿司に関するお話。

助六寿司の語源

助六寿司は定番の折詰。いなり寿司と巻き寿司が並んだお弁当です。
さて、この助六寿司。
なぜ、助六という名前がついているのかご存知ですか?

「助六」の由来は実は歌舞伎の演目『助六由縁江戸桜』とその主人公の名前からきています。
主人公の助六は江戸の粋を具現化したような伊達男。そして、演目自体は豪華絢爛な吉原を舞台としたもの。上映すれば必ず大入りになるほどの人気演目なので、それにあやかりたくなるのもうなずける話です。
助六寿司の名付けにはいくつか説があるため、それをご紹介いたします。

恋人の揚巻

主人公の助六の恋人は吉原で全盛を誇る花魁・揚巻(あげまき)です。
彼女は吉原の花魁が最も大事にする「張り」という価値感を体現したような女性。
張りとは意気地(いきじ)のことで、自分の意志を押し通そうとする気構え――気位、プライドとも言えるかもしれません。
対する客が最も大切にするのが「粋」。
助六と揚巻は粋と張りが人の形をとったようなキャラクターなのでまさに江戸のベストカップルです。
さて、この「揚巻」という名前に洒落をかけて、油「揚」げで包まれたお寿司であるいなり寿司と海苔で「巻」かれた巻き寿司の折詰を、助六寿司と呼ぶようになったとか。
揚巻寿司ではなく、助六寿司というところが洒落が利いていますね。

助六のトレードマーク

助六のトレードマークはなんといっても江戸紫の鉢巻きです。
通常、歌舞伎では紫の鉢巻きは病鉢巻(やまいはちまき)と言って病人の証。
医療が発達していない時代では、病気の時に鉢巻きをすると厄除けや解熱の効果が期待できるとされていたとか。
そういう訳で歌舞伎では、顔の左に結び目がくるように紫の鉢巻きを結んだ人物は心身をわずらった人というのがお約束です。
ところが、助六の鉢巻きは紫でありながら結び目が顔の右。形も異なっています。これは助六の勇ましさと健康の証。あえて病鉢巻を本来とは逆に巻くという傾き者の粋を表現しているのです。
この紫の鉢巻きを巻いた助六を巻き寿司に見立て、油揚げで巻かれたいなり寿司を揚巻に見立てたという説も助六寿司には存在します。恋人同士が折詰に一緒に入っているなんて素敵ですね。

幕間に食べる寿司折詰

最後の説は、助六寿司が揚巻の名前にちなんで歌舞伎の幕間に食べるために作られたという説です。
そもそも江戸時代は倹約令が度々発令された時代。
そこで開発されたのが油揚げを使ったいなり寿司なんだとか。魚の代わりに油揚げ……確かに倹約してます。
『助六由縁江戸桜』は通常2時間、全く省略なしで演ずると3時間かかるとされています。
その幕間にお客さんに食べていただこうと「助六寿司」を売り出したとして何ら不思議なことはありませんね。

以上、助六寿司の由来をご紹介しました。

参考:歌舞伎演目案内『助六由縁江戸桜』 / 食育大辞典 / 歌舞伎美人 / 歌舞伎用語案内 /北村鮭彦著『お江戸吉原ものしり帖』

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