TOP / 言葉 2018.09.21

季節ごとに名称の変わる和菓子! おはぎとぼたもちの違い

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彼岸

「暑さ寒さも彼岸まで」と申しますが、確かにこのところ一段と涼しさが増したように思います。
今年は、昨日9月20日に彼岸入りを迎えましたが、今回は、この時期によく見かける和菓子についてご紹介します。

そもそもお彼岸とは?

お彼岸とは、季節の移り変わりをより的確につかむために設けられた雑節(ざっせつ)の一つです。
昼と夜の長さがほぼ等しい春分・秋分の日を真ん中に据えて、前後各3日を合わせた7日間を彼岸と呼びます。
今年は9月23日が秋分なので、3日さかのぼった9月20日が彼岸の入り。3日進んだ9月26日が彼岸の明けというわけです。

9月20日 21日 22日 23日 24日 25日 26日
彼岸の入り 秋分の日 彼岸の明け

 

おはぎとぼたもち

さて、お彼岸といえばおはぎとぼたもち。
どちらもあんこをまとったお餅で同じ食べ物のようですが、違いはあるのでしょうか?
おはぎとぼたもちを漢字で書くと、「お萩」「牡丹餅」です。
萩は秋の七草で、牡丹は春に見ごろを迎えるお花です。
つまり、この2つの違いはズバリ季節!
秋の彼岸には収穫を感謝して「おはぎ」を。春の彼岸には収穫をもたらす山の神を迎えるために「ぼたもち」をお供えしていたのです。

萩の花萩の花 牡丹牡丹

見た目の違い

おはぎとぼたもちは見た目にも違いがあります。
萩の花をかたどって作るおはぎは小ぶりで長め、牡丹の花をかたどって作られるぼたもちは丸く大きく大輪の花のようです。

また、保存技術や品種改良が進む以前は、あんの状態にも違いがありました。おはぎは「粒あん」ぼたもちは「こしあん」だったのです。これは、あんの材料である小豆の収穫時期によるもので、秋のお彼岸は小豆の収穫時期とほぼ同じ頃合い。とれたてのみずみずしい、柔らかい豆をあんにすることができました。
一方、春のお彼岸は、冬を越した小豆を使うため、皮が固くなってしまいます。神様に捧げる大事なお供えなので、食感が悪くなってはいけません。固い皮を取り除いたこしあんで作ることが一般化したのです。

おはぎおはぎ ぼたもちぼたもち

夏と冬の呼び方

さて、ここまでのお話で、お彼岸のお供えは、春はぼたもち、秋はおはぎであることがわかりました。
「季節によって名称が変わるなんて乙だなぁ」という感想もあるかもしれませんが、驚くなかれ! 実はこの和菓子、夏と冬でも呼び名が変わるのです!

夏は「夜船(よふね)」。冬は「北窓(きたまど)」です。
なぜそのように呼ぶのでしょうか?

夏は夜船

おはぎ・ぼたもちの中身のお餅は、もち米とお米を混ぜて炊いて、すりこぎで潰して作ります。
杵と臼を使った餅つきはしないのです。
つまり、「ぺったんぺったん」音がしないことから、いつついた餅かわからない「搗き(つき)知らず」となり、洒落から夜船と呼ばれるようになりました。
夜は船がいつ着いたかわからない「着き知らず」というわけです。

冬は北窓

冬の北窓も「搗き(つき)知らず」の派生です。
北窓からは月が見えません。「月知らず」なのですね。

 

春と秋は花に見立てて。夏と冬は洒落から名前をいただいて。
なんとも風情ある和菓子なのです。

 

参考:暮らしの歳時記/秋の行事・楽しみ方(9~11月)

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